2011li-fin
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有木 市川さんは日本で初めて「葬儀相談員」を名乗られたということですが、そのきっかけといいますと?市川 最初は服飾関係の仕事をしていまして、そこから葬儀の紹介業に転職したのですが、お客様に対する姿勢がまったく違うのに驚きました。葬儀業界には消費者視点というのがまるで感じられなかったんですね。服飾の世界はお客様が一番大切という論理だったのに対して、当時(8年前)はお葬式の金額を公開している葬儀社もほとんどない状況でしたから。結婚式にはブライダルプランナーがいるのに、お葬式には相談できるプロがいない。だったら…というので独立しました。別府 葬儀って不透明な部分が多くて、いざ「その時」には聞けないことがたくさんありますものね。事前に相談できるプロがいると心強いと思います。有木 相談される方は、ご本人とご家族、どちらが多いのですか?市川 まだ圧倒的にご家族ですが、ご自身の葬儀について考える方も増えてきています。ご相談に来られる方は、とても不安な思いを抱えておいでで、いったいどこに相談すればいいんだろうかと。自分だって準備はしたくないけれども、でもその場になって納得のゆかない葬式はしたくない、と。事前に相談するということは、以前ほどタブーではなくなっていますが、でもやっぱり罪悪感があるって多くの方がおっしゃいます。その点、ご自分のなんて明るいですよ(笑)別府 実際には、ご自分がこうしたい、と希望された通りになるようですか?市川 そうですね。本人の希望を叶えてあげられたという事実が、遺された家族をすごく癒すようです。先日も講演会で、「私は息子に迷惑をかけたくないから、全部、息子の好きなようにさせるの」とおっしゃるお母様に、「それが一番迷惑なんですよ」と(笑)。これまで口うるさくおっしゃってきたなら、それを書いて残してあげるのが一番親切。息子さんへの贈り物なんです。ぜひ“終活”してくださいね、と。有木 そうした事前相談などが増えてきますと、自ずとコミュニケーションの取り方もかわってきますよね。リフィンでも、これまで式典用として黒をベースに礼節感のある制服を提案してきたのですが、いま市川さんがおっしゃった市場の変化とか、お客様からのご要望とかに応じて、式典の前後のご相談や訪問にふさわしい服はどんなものかと考えてきました。実はこの人なら、わかってもらえるという共感が コミュニケーションには大切ですね。◆リフィン座談会◆左から市川愛さん、有木チーフ、別府みさ子さん。緑あふれる空中庭園を背景に。撮影協力:レストラン「ラマージュ」 東京都港区南青山5-6-2314

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